株式会社東海理化様 Accel-Mart導入事例

~350社とのやり取りを一つにまとめ、承認スピードを3日→半日へ。紙とメールに頼らない“新しい調達のかたち”。~
スイッチやシフター、キー、シートベルトなど自動車用部品を製造・販売する株式会社東海理化(以下、東海理化)では、調達部門において350社以上の仕入先とのやり取りに紙やメールといったアナログな手法が残り、業務の非効率化や進捗管理の属人化が問題となっていました。こうした問題に対し、NTTデータ東海の支援のもと、これまでの実績で培った取引先向け情報共有基盤のノウハウを発展させる形で、仕入先との情報共有・コミュニケーションを一元化する「仕入先ポータルサイト」を構築しました。システム基盤には、数百社の取引先が24時間アクセスする特性を踏まえ、クラウド環境で利用可能なNTTデータイントラマート社(以下、IM社)の「Accel-Mart※1」を採用しています。
また、東海理化ではすでにIM社のワークフロー基盤を活用した全社共通基盤を導入していました。本取組では、仕入先ポータル向けに新たなAccel-Mart環境を用意し、既存基盤と連携しました。サプライヤーとの細かな変更が頻繁に発生する業務特性を踏まえ、NTTデータ東海がシステムをすべて構築するのではなく、情報システム部門を支援する立場で開発スキルをレクチャーしながらプロジェクトを推進し、お客様主体での内製を前提に、ローコードツールを活用した開発を進めました。これにより、情報セキュリティ要件を満たしつつ、社内外をシームレスにつなぐ業務プロセスを実現しました。
その結果、従来2~3日を要していた回覧リードタイムを半日へと大幅に短縮し、紙やメールに依存したアナログ業務の削減にも成功しています。
本記事では、導入の背景や稼働後の効果、今後の展望を、情報システム部およびサプライチェーンシステム部のプロジェクトメンバーの皆さまに伺いました。
導入前の問題
- 回覧リードタイムの長期化
- 仕入先と管理側の双方で関係者が多く、申請方法や申請管理が煩雑化
- 申請プロセスの停滞や台帳管理の抜け漏れ、申請書類の紛失の発生

改善による導入効果
- セキュリティと利便性を両立しながら社内ワークフロー基盤と仕入先ポータルを連携し、回覧リードタイムを大幅に削減
- 仕入先に対して効率的かつ漏れのない情報提供を実現
-
台帳管理の抜け漏れ、申請書類の紛失など、ガバナンス面の問題解消
【課題】
「紙とメール」に埋もれる仕入先とのやり取り、効率性とガバナンスに課題
サプライチェーン戦略部 調達企画室
主幹 伊藤 亮輔 氏
東海理化は、スイッチやシフター、キー、シートベルトなどを中心に製造・販売する自動車部品メーカーです。近年では、ゲーミングブランド「ZENAIM」や社有車管理システム「Bqey」といった新領域にも事業を展開し、多角的な成長を図っています。
同社のサプライチェーンは350社以上の仕入先に支えられていますが、調達部門と仕入先とのコミュニケーションは長年アナログな手法が中心でした。例えば、品質に関する案内書や手引書、各種申請帳票の雛形など、全仕入先共通の規定や業務書類は個別にメールで送付していました。
また、仕入先が東海理化に老朽化した金型などの更新を申請する際も、メールによるPDFファイルのやり取りや紙の書類での受け付けが主流でした。一部にはデジタル化された業務もありましたが、「仕入先から見れば、東海理化との接点が業務ごとに分散している状況は変わらず、どの業務をどの部署の誰に申請すればよいのか分かりにくかった。申請を受け取る私たちの業務も、毎日メールと紙に埋もれてしまっていた」と、同社サプライチェーン戦略部 調達企画室 主幹の伊藤亮輔氏は当時を振り返ります。
その結果、メールの見落としによる申請プロセスの停滞や紙書類の紛失が発生し、案件の進捗管理が困難になることもありました。業務効率の観点だけでなく、ガバナンス上の課題も深刻化していた状況でした。
【導入】
「2つのAccel-Mart」を連携させ、社内外シームレスな業務基盤を構築
セキュリティと利便性を両立
情報システム部 基幹システム開発室
室長 大原 一輝 氏
こうした検討に先立ち、東海理化では全社統一の社内申請向け汎用ワークフロー基盤を整備しようという動きが本格化していました。社内申請のルールは統一されておらず、メール本文に申請事項を記入して送信する、ExcelやWordで作成した独自帳票をメールに添付する、社内メール便で紙の書類を送付するといったように、申請者ごとに様式や手法が異なっていました。そのため、申請・承認ステータスの管理や承認までのリードタイムが長期化するなど、長年にわたり課題となっていたといいます。
同社はその解決策として、NTTデータ東海の支援のもと、2019年にAccel-Martを導入しました。「部門ごとの承認フローや条件分岐といった複雑な要件に柔軟に対応できるワークフローとしての機能性の高さ、既存システムとの連携のしやすさ、そしてライセンス体系がCPU課金(※2)で大規模利用時のコストメリットが大きい点を評価しました」と、情報システム部 基幹システム開発室 室長の大原一輝氏は話します。
サプライチェーン戦略部 調達企画室 調達企画グループ
小林 拓真 氏
一方、調達部門における仕入先とのコミュニケーション改革は、「仕入先から見た東海理化の入口を一本化する」という方針のもと、まずは「仕入先における品質保証の手引書」などの規定類や業務帳票の雛形を共有するためのポータルサイト構築からスタートしました。ここでもAccel-Martを採用しています。サプライチェーン戦略部 調達企画室 調達企画グループの小林拓真氏は、検討の経緯を次のように説明します。
「既存の電子見積りシステムを転用するという選択肢もありましたが、あらゆる仕入先を対象とした情報開示やコミュニケーションの基盤を柔軟に構築できる点から、Accel-Martが最適だという結論になりました。また、当初は社内ワークフローとして導入したAccel-Martに仕入先ポータルの機能を集約する構想もありましたが、当社のセキュリティポリシー上、社内向けプラットフォームに仕入先が直接アクセスすることはできないため、別システムとして導入することになりました」
仕入先ポータルサイトの構築は2019年末に検討を開始し、2020年には運用を開始しました。コロナ禍という外部環境の変化もあり、その後、社内ワークフローと仕入先ポータルの双方で活用の拡大や高度化が急速に進みました。社内ワークフローは申請のデジタル化が順調に進みましたが、仕入先ポータルでは、仕入先からの申請を処理するワークフローシステムを構築する段階で課題が生じました。仕入先からの申請は調達部門だけでなく、製造部門や設計部門など社内の複数部署に展開するケースが多く、仕入先向けに構築したAccel-Mart環境だけでは対応しきれなかったのです。
情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ
グループ長 岸 喜一朗 氏
そこで同社は、「社内ワークフロー基盤」と「仕入先ポータル」という2つの独立した環境に構築したAccel-Martを相互に連携させることで、課題解決を図りました。検討からシステム構築、運用までNTTデータ東海が一貫して支援しています。情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ グループ長の岸喜一朗氏は、「当時、2つのAccel-Mart環境を連携させた事例はありませんでしたが、NTTデータ東海が連携方式を提案し実現したことで、セキュリティと利便性を両立しながら、仕入先から社内までをシームレスにつなぐプロセスを確立できました」と評価します。
情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ
AM 須賀 雅美 氏
また、情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ AM(Active mate)の須賀雅美氏は調達部門の立場から、「調達部門にはシステム開発の経験がなく、完成イメージを描きづらい状況でしたが、現状の業務課題を伝えると、NTTデータ東海がそれを噛み砕いてモックアップを作成し提案してくれました。業務理解のレベルが非常に高く、短納期でキャッチボールの材料を出してくれたおかげで、スムーズにプロジェクトを進めることができました」と振り返ります。
NTTデータ東海は、単なるシステム導入にとどまらず、業務課題の整理から要件定義、モックアップによるイメージ共有、セキュリティ要件を満たす設計まで一貫して支援しました。特に、2つのAccel-Mart環境を連携させるという前例のない構成を実現した点は、当社ならではの強みです。これにより東海理化は、「セキュリティと利便性を両立した社内外シームレスな業務基盤」を短期間で構築することができました。
社内ワークフローと連携した仕入先ポータルの申請ワークフロー構築は2023年に完了しました。これと並行して、基幹システムのデータベース(Oracle DB※3)から部品の単価マスタなどの情報を自動参照する仕組みや、Excel連携による明細のアップロード・ダウンロード機能の実装も進め、社内外ユーザーの手間を徹底的に削減する工夫を盛り込みました。

【効果】
回覧リードタイムが2〜3日から半日に短縮、プロセス変革で「作業ゼロ」も
こうして構築したシステムは、現在、仕入先350社以上と社内約4,700人が利用する共通基盤となっています。仕入先に対しては効率的で漏れのない情報提供が可能になり、申請の処理スピードも大幅に向上しました。従来2〜3日かかっていた申請の回覧は、平均して半日程度で完了するようになっています。情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループの梶浦麻琴氏は、統一された申請ルールがシステム化されたことで、ユーザーの業務効率が大きく向上していると話します。
「社内ワークフローは人事マスタを使ってユーザー情報や組織情報を適切にメンテナンスしており、各ユーザーが『次は誰に回すのか』を考えなくてもよい仕組みになっています。これが仕入先からの申請ワークフローにおいても、社員のスムーズな処理やリードタイム短縮につながっています」
情報システム部 基幹システム開発室 業務管理グループ
梶浦 麻琴 氏
また、進捗管理も確実かつ容易になりました。書類紛失といったアクシデントがなくなったことに加え、従来の紙やメールでの申請に必要だった台帳管理も不要になっています。
仕入先ポータルでは、既存の業務プロセスの最適化も実現しました。象徴的な例が「不良返却伝票」の業務です。従来、仕入先で有償支給部品の不良が見つかると、東海理化の工場側で返却伝票を起票し、調達バイヤーが単価を調べて記入したうえで返金処理を行っていました。新システムでは、これを仕入先発意のワークフローに変更し、仕入先が起票すると単価がOracle DBから自動参照される仕組みになりました。これにより、工場側とバイヤーの作業は不要になりました。大原氏は「自動化の仕組みを取り入れることでワークフローをシンプルにし、関係者の業務負荷軽減にもつなげることができました」と説明します。
さらに、ワークフローの停滞を防ぐための工夫も取り入れています。岸氏は次のように話します。「ワークフローが滞留した際、担当者への通知だけでは対応が遅れることがありました。そこで、担当者とその上長の双方にリマインドを送る仕組みを導入しました。これにより、担当者が過度に案件を抱え込むことなく、上長のサポートを早期に受けられるようになり、ワークフロー全体もスムーズに進むようになりました」
仕入先側での活用も順調に進んでいます。直感的なUIで操作が簡単だという評価が多く、新しい申請業務が追加されても混乱は生じていません。今では仕入先から「あの業務はいつまで紙でやるのか」と、システム化を求める声が上がるケースも出てきています。
【未来】
調達部門外の業務にも適用を拡大し、蓄積データを活用する次のステージへ
東海理化は今後、仕入先ポータルの適用範囲をさらに拡大していく計画です。現在は調達部門が関わる申請が中心ですが、今後は調達が関与しない申請業務、例えば部品の納入に関する荷姿仕様の申請など、工場の担当部署と仕入先が直接やり取りしているアナログ業務についても、Accel-Martに集約していく方針です。
また、より複雑な業務改善やデータ活用にも注力していきます。大原氏は「NTTデータ東海と協力しながらAccel-Martのローコード機能を活かし、単純な申請だけではない業務効率化の施策を進めていきたい」と話します。
さらに、蓄積されたデータをどのように活用していくかも重要なテーマです。その第一歩として、案件情報を集計してExcelレポートを自動作成し、管理職に送付する仕組みの構築も進めています。「将来的にはAIの活用も視野に入れ、データの価値を高めていきたい」と大原氏は述べており、NTTデータ東海からの提案や、それを実現するための基盤としてのAccel-Martの進化にも期待を寄せています。
NTTデータ東海は、ローコード開発やワークフロー連携の知見を活かし、業務改善のスピードと柔軟性を高める提案を継続的に行っています。単なるシステム提供にとどまらず、業務理解を踏まえた改善策の提示や、将来的なデータ活用を見据えた基盤設計こそが、NTTデータ東海の価値提供のポイントです。

株式会社NTTデータ東海 第三事業部
左から 森 望、佐賀 梓、塩崎 千紘、清水 康介、河野 翔平
今回の東海理化での取り組みは、単なるシステムの刷新にとどまらず、紙やメールに依存していた仕入先とのやり取りや、担当者ごとに分断されていた承認プロセスといった、製造業の現場で共通する課題を包括的に解決したプロジェクトです。
NTTデータ東海は、お客様の業務を丁寧に理解するところからスタートし、課題の整理から業務プロセスの再設計、システム実装までを一体で支援しました。イントラマート製品とローコード開発を組み合わせることで、社内と仕入先をシームレスにつなぐ新しい調達業務の形を実現しています。
その結果、承認リードタイムの大幅な短縮や、情報の一元管理によるミス・抜け漏れの削減、さらには情報システム部門によるガバナンス強化といった具体的な効果が生まれました。
Accel‑Martを活用したサプライヤーポータルの構築は、属人化やアナログ業務に課題を抱える企業に対し、短期間で成果を創出できる再現性の高いアプローチであることを示しています。
本事例は、NTTデータ東海が培ってきた業務理解力と技術力を掛け合わせることで、製造業の調達・購買業務におけるDXを現実解として実装できることを示した成功例です。
NTTデータ東海では、調達・購買業務の変革を検討する製造業にとってDX推進の具体像を描き実現するIT・DXパートナーとして引き続きご支援してまいります。
【お客様情報】
| 商号 | 株式会社東海理化 |
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|---|---|---|
| 本社 | 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 | |
| 創立 | 1948年8月 | |
| 事業内容 | スイッチやシフターなどのHMIシステム、キーなどのセキュリティシステム、 シートベルトなどのセイフティシステムを中心に製造・販売する自動車部品メーカー |
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| URL | https://www.tokai-rika.co.jp/ |
※本事例の内容は、2025年10月時点の情報にもとづいています。
※以下は、本文中に登場する用語の補足説明です。
※1 Accel‑Mart
NTTデータイントラマート社が提供するintra mart(様々な業務システムを同⼀のプラットフォーム上に集約し、最新のデジタル技術を活⽤することで、IT投資の効率化と業務プロセスのデジタル化‧自動化を実現するエンタープライズ・ローコードプラットフォーム)の機能をクラウド型で提供するソリューション。ワークフローや業務アプリの開発環境をすぐに利用できる点が特徴。
※2 CPU課金
利用するCPU(プロセッサ)の処理能力に応じて料金が発生する課金形態。
クラウド環境では、処理時間や割り当てCPU数に応じて従量課金され、大規模利用時にはコスト最適化が可能。
※3 Oracle DB
日本オラクルが提供する、世界的に広く使われているリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)。
大量のトランザクションを安全かつ高速に処理するための基幹システムに採用されるデータベースの代表格。
